星の王子さまを50年ぶりに読んだ。「いちばんたいせつなことは目に見えない」、最も有名なフレーズを、作者のサンテグジュペリが書いた原語であるフランス語で手帳に貼ってみた。
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本にある挿絵は、サンテグジュペリが描いたものなので、アリスの物語のテニエルのように達者ではないけれど、味わいがあって、ご存知のように大人気だ。かわいいー!その著作でいくつもの賞を受賞した後、飛行機事故で急死する前に書いた最後の物語が星の王子さまである。
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死んで消えゆくものに対する思いを救ってくれるところがあるとは、若い頃、読んだときには思わなかった。王子さまと別れても、キツネは、友だちになったことのある王子さまの金髪ゆえに、金色に輝く麦畑を、幸福をもって見つめることができるようになる。そして、麦畑をわたっていく風の音まで、好きになるのだ。王子さまが死んでも、王子さまと友だちだったキツネに幸せが宿り続ける。
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読みどころが何であるか、いろいろな箇所を指摘することができるが、何かを「目ざす」ことだけでなく、「味わう」ことの人生におけるかけがえのない価値を物語が教えてくれるとNHK100分de名著の水本弘文さんは言う。
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「味わう」ことは忘れられがちなものである。「目ざす」ことと「味わう」ことのバランスがとれていて、今、わたしはとても幸せだ。若い頃はどうだったろうかと考えさせられる。
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また、たくさんの薔薇が世界にはあるのに、自分の小さな星の上でたまたま関わりをもった一輪のばらこそ価値があると気づく王子さまの姿には、凡人のささやかな幸福への祝福を見るようで救われる。
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100分de名著、テレビ番組を見なかったので、本でしか読んでいないが、読むと、星の王子さまが何倍も味わい深くなり、繰り返し読んではその都度の自分ならではの気づきを得ることがしやすくなるだろう。写真は電子書籍だが、紙の本もまだ手に入る。
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今日、気づいたことを忘れないように、手帳には、王子さまとともに、物語の重要な鍵となっているキツネとバラも貼っておこう。また、思い出して物語を読むことがあるかもしれない。
*星の王子さまには、いろいろな方の日本語訳があるが、写真で紹介したのは、新潮文庫の河野万里子さんによる訳の本で、人気が高い。電子書籍もあるとはいえ、手帳感覚で紙の本を手に入れた。表紙カバーのタイトル文字が金の箔押しになっていて、文庫本にしては繊細なつくりである。古くからの有名な本は、訳文が古めかしくなりがちのようである。写真にあるフランス語と英語の2カ国版は、アマゾン キンドル アンリミテッドで、0円でダウンロードしたものである。ここから、星の王子さまの有名な名言のいくつかを原語のフランス語で取り出した。
(2021.11.20) 手帳2021-51