アリスのとび出す絵本、有名な人気作家、サブダさんのものを開いた。物語最後の見せ場のトランプのシーン、自分でつくることができたら楽しそうでしょ?そして、もう一冊のアリスのとび出す絵本と、アリスの啖呵にもご注目。
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とび出す絵本の作家、サブダさんは大人気である。先日、うめはん(阪急百貨店うめだ本店)の英国フェア2021のついでに寄ったジュンク堂大阪本店の子ども向けの本のコーナーに、おそらくクリスマスプレゼント向きということでアリスのとび出す絵本が平積みして展示してあった。久しぶりに家で手持ちの1冊を取り出してみた。(写真は英語版だが、書店に並んでいるのは、もちろん日本語版である。)
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サブダさんの不思議の国のアリスは、もはや古典になりつつある。そのとび出すしくみは、本の見開きからの飛び出し方が大きくダイナミックで驚きがあり、とても見栄えがする。サブダさんの本に共通した特徴である。さらに、本の見開きごとに数ページの小さなとび出す絵本がうめこまれていて、すてき便のおすそ分けファイルをあけたときのような楽しさだ。
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子どもにだけ楽しませておくのは、もったいないような絵本である。4000円と少し値がはるが、値段だけの手間のかかったつくりの本だといえる。
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この本といっしょに、『サブダにチャレンジ』という冊子が出てきた。サブダさんのアリス本のラスト名場面、トランプのシーンを、自分でつくるキット本である。両面カラー印刷のパーツの紙を切り抜いて作ることができるよう解説されている。今は普通では手に入らない。発売当時1365円で購入したが、Amazonで6128円で売られている。2冊買って、1冊は自分で作ろうと思っていたのだけれど、大事な人に1冊さしあげてしまったので、手許に貴重な1冊である。まとまった時間をとって構造の複製を作ることができればと思っている。
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サブダさんのとび出す絵本のシーンをつくる『サブダにチャレンジ』は、アリス以外にも2冊があって、うち1冊は、まだ定価で買える。とび出すしくみが好きで、見るだけではなくつくってみたいという人には、うれしいシリーズだ。
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サブダさんのとび出すしくみがなぜ圧倒的なブームを引き起こしたのかは、以前に出版されたアリスのとび出す絵本と見比べると一目瞭然なのである。下の写真の古い絵本も、上品で十分に楽しいのだが、サブダさんの絵本では、飛び出し方が大きく、テニエルの画風を逸脱しない範囲でのポップでセンスのいい絵づくりのパーツが見栄えがして、明るく楽しい。
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トランプの場面、クイーンに、首をはねると言われたアリスが、「だれがあんたの言うこと聞きますか?。!」と言うと、クイーンと家来たちは、みんなトランプに戻って舞い上がって、アリスに向かってくる。先頭をきるのはクラブのエース、挿絵を描いたテニエルは、別の箇所で死刑執行人をクラブのエースで描いている。でも、ただのトランプのカードにアリスを倒せるはずはない。
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アリスのことばを手帳に貼った。「だれがあんたの言うこと聞きますか?ただのトランプのカードのくせして!」(Who cares for you? You’re nothing but a pack of cards!)
たくさんのトランプカードのうちのペラペラの1枚にすぎないのに、えらそうにナンセンスなことを言ってくる輩(やから)、いるいる!腹のたつことを言われたら、にっこりと、アリスを真似してこの啖呵(たんか)をきってみてはどうだろう。声に出したら、その先は補償しかねるが。
(2021.11.24) 手帳2021-53