手帳

キャンディのスタンプと『あしながおじさん』

2021年11月22日

手帳と安野光雅さんの絵の『あしながおじさん』

キャンディのスタンプを手に入れた。キャンディといえば、かつての大人気コミック『キャンディキャンディ』、なつかしいので読んでみようとしたら、現在は、古書でしか読めず、全9巻、安くても20000円程度はすることがわかった。お持ちの方、大事にするか、売りに出されるかですよ!そこで、『キャンディキャンディ』といえば、『あしながおじさん』。手帳のキャンディのスタンプから、次々に脱線し、前振りが長くなった。『あしながおじさん』を手に入れて読んだのである。

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10代の頃と20代前半に読んだことがあるので3回目である。女性なら、読んだことがあるという方がほとんどで、シンデレラストーリーとしてのご記憶があることだろう。そして、書かれてから100年以上たっても読み継がれているのは、あらすじとしての大きなストーリー展開にとどまらない、いきいきとした魅力があるからということにも同意していただけるだろう。
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10代で読んだときは、ジュディのひとり部屋の描写が印象的だった。家族から離れた一人暮らし、そして愛し合える人との出会いへのあこがれ。20代前半、学生時代に読んだときは、見上げるようにして好きになっている男性に対しても言いなりにならないジュディがまぶしかった。昭和の時代、まだ古めかしかったのである。そのときから40年を経て今、読んでみると、読後感は、チャーミングなジュディという少女への愛おしさと、ジュディに思いを寄せて翻弄されたジャーヴィーくん、よかったね、おつかれさまという感じである。
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読んでいる間は、完全に物語にひきこまれて異世界にトリップし、ワクワクとさせられた。ただ、以前と違って、あこがれを感じることはなかった。20世紀初期のアメリカのお金持ちの物語は、なんて男も女も生きにくい時代があったんだろうと、思い知らされるばかりである。
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勉学優秀で奨学金を勝ち得、作家としての入口にたつという才能豊かなジュディでさえ、家庭教師をするか、結婚するしか選択肢がない。一方、金持ちであっても、男であっても、虚飾に興味がないジャーヴィーくんにできることといえば、慈善事業ばかりで、まわりから浮いているという設定。
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時代の変化には感謝するばかりである。いや、まだまだなのかもしれない。手帳に貼ったキャンディほど、世の中甘くないと言われてしまいそうである。3回目の通読は、そんなことも考えさせられたとはいえ、気持ちを明るくしてくれる本であることだけは間違いない。

*『あしながおじさん』、日本語訳がたくさんある。全部に目をとおすことは叶わないので、3冊、読んでみた。1冊目は、偕成社文庫のもの。訳者、恩地三保子さんは、あの、インガルス家ローラの物語『大きな森の小さな家』を最初に訳された方である。2冊目は、2018年の朝日出版の本。谷川俊太郎さんが訳、安野光雅さんが挿絵という人気者コンビによる話題性の高いものである。3冊目は、2015年の光文社古典新訳文庫の本である。土屋京子さんの訳で、同じ文庫シリーズの『ナルニア国物語』の新訳は人気が高い。最後に読んだ、土屋さんの訳には圧倒された。大人の文章である。いわゆる少女小説の香りゆえに避けて読んだことのなかった男性も抵抗なく読むことができるだろう。

安野光雅絵・谷川俊太郎訳『あしながおじさん』
安野光雅絵・谷川俊太郎訳『あしながおじさん』
恩地三保子訳と土屋京子訳の『あしながおじさん』
恩地三保子訳と土屋京子訳の『あしながおじさん』

(2021.11.22)  手帳2021-52

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あってい

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