もうすぐクリスマスなので、エドワード・ゴーリーの絵本『憑(つ)かれたポットカバー』を楽しんだ。ムーミンを書いたトーベ・ヤンソンも、エドワード・ゴーリーを愛好していたそうだ。
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ブラックでナンセンスだけどかわいいキャラクターが登場する人気のゴーリー、アニメキャラクターのムーミンとゴーリーはけっして結びつかないものの、アニメじゃないムーミン本の挿絵、インクの細い線を重ねて面を描いているタイプは、絵自体としてどこか暗さが感じられるけれどかわいくて、トーベ・ヤンソンのゴーリー好きをなるほどと思わせるところがある。
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ティム・バートンもゴーリーのファンだったという。これも、なるほどである。たとえば「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のジャックは、一見おぞましいのに、かわいいキャラクターとして人気だ。
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エドワード・ゴーリーの『憑かれたポットカバー』は、ディケンズの『クリスマス・キャロル』のパロディになっていて、主人公がクリスマスイブに3つの幽霊にあい、その導きでさまざまな情景に出会うナンセンス絵本である。

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『クリスマス・キャロル』のおおまかなストーリーは映画もあるので、ご存知の方が多いかと思う。もし、知らなくても、この絵本を楽しむことはできるし、逆に、有名な『クリスマス・キャロル』にふれるきっかけづくりとすることもできるだろう。
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ナンセンス絵本なので、プーさんの、例の「何もしないをする」心意気でのぞむのがよいだろう。この絵本、子どもに与えるものではないという人がいるが、プーさんのうたう、はちゃめちゃな詩を楽しむことができる子どもには、楽しめるのではないか。
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ゴーリーは5歳のころに「不思議の国のアリス」を読んで大きな影響を受けたそうだ。そして、ルイス・キャロルに影響をあたえたといわれるナンセンス詩人エドワード・リアの文である『ジャンブリーズ』という絵本を制作している。トーベ・ヤンソンはアリスを描いたが、ゴーリーの「不思議の国のアリス」があったら、とびきり魅力的だったろうと夢想する。
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コラージュ好きの方には、ゴーリー好きの方、多いのではという気がする。絵柄の意味するところを超えて、組み合わせの妙を楽しむ心意気はナンセンスと親和性が高いのではないかと思える。コラージュといえば大家、マックス・エルンストがいるが、彼はエドワード・ゴーリーの愛好家だった。
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そして、エドワード・ゴーリーは、19世紀イギリスに生まれてきたかった20世紀アメリカ人といわれることがある。アリスの時代である。
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さて、エドワード・ゴーリー、猛烈に本のコレクションをしたくなってしまうという意味では、おすすめするのがためらわれる。沼にはまる方が多いようである。マステ沼やスタンプ沼に限らず、いろいろなよろこばしき沼が、待ちうけているものだ。
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手帳には、エドワード・ゴーリー作品の中の一番人気、『うろんな客』の、うろんくんを貼った。かわいい!

(2021.12.11) 手帳2021-62