心惹かれた鳥人のスタンプがはじまりだった。動物化した人間のイラストを描いたのは知る人ぞ知る、19世紀の風刺画家!
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手帳にあるペンギン王、ペンギン紳士のスタンプを見たときは、目が釘づけになった。魅了され、すぐさま手に入れた。先日ポストしたゴーリーに通じる、何かブラックでいながら繊細で愉快なものを感じた。
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19世紀風の衣装に身を包んだ鳥人、あまりに見事なので、由来があるのではと、ネットで画像検索をかけたりして探しまわった。そしてわかったのが、19世紀のフランスのグランヴィルという風刺画家による版画であるということだ。
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「オールドブックイラストレーションズ」というパブリックドメインの画像を扱うサイトに、ペンギン王のイラストがあり、グランヴィル作であることがわかった。さらに、出典として、本などのアーカイブを公開している「オープンライブラリ」にリンクがはられていたので、そちらを見ると、絵が掲載されているフランス語の本があった。
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ページをめくっていくと、たしかに挿絵があった。手帳左ページのペンギン王だけでなく、手帳右ページのペンギン紳士の挿絵のあるページも見つけた。『動物たちの私生活・公生活情景』という本である。
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この本は、グランヴィルの有名な「動物もの」の中でも最大で、登場人物たちは頭部が動物、体は人間という創造物である。動物は鳥に限らず、さまざまで、いろいろな社会階層の人々をこれらの創造物に演じさせ、社会風刺を展開したのだという。
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調べてみると、フランス関係で有名な鹿島茂さんがグランヴィル作品のコレクターで、そのコレクションを公開した展覧会が2011年に開催されていた。そして、その図録の本があることがわかった。手帳といっしょに写っている本がそれである。

表紙のネコ貴婦人は、スタンプのペンギン王と同じく『動物たちの私生活・公生活情景』の挿絵である。

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グランヴィルは、有名な画家ドーミエといっしょに雑誌に風刺画を提供していたけれども、ドーミエがロートレックやゴッホに影響を与えたと言われているのに対して、影がうすい。
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しかし、「グランヴィルを見たら人生が変わる。グランヴィルを見てから死ね、なのである。」というほどの鹿島茂さんの推しだ。
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動物化した人間以外にも、心の深層を描くような幻想的な版画作品群、ジャンクジャーナル好きに好まれそうだ。
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写真に写っている本『グランヴィル』、アマゾンで買ったら価格の46%のポイントがついてきた。理由は存知あげないが、実質半額近くで購入できることになる。
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スタンプに魅了され、手帳に捺そうと手に入れたことをきっかけに、すてきな世界に出会うことができた。
(2021.12.19) 手帳2021-66