手帳

答えのない不思議な物語もいいかも ハリス・バーディック氏の絵から

2022年1月28日

手帳と『ハリス・バーディックの謎』

答のない不思議な物語もいいかも、と思わせてくれる絵本『ハリス・バーディックの謎』に出会った。

『ハリス・バーディックの謎』表紙
『ハリス・バーディックの謎』表紙

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あの、映画『ジュマンジ』『ポーラー・エクスプレス』の原作者オールズバーグによる絵本で、彼の絵本のほとんどを日本語訳されている村上春樹さんの翻訳で読んだ。

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絵本はこんな設定で作られている。
ー児童書出版社に持ちこまれたハリス・バーディック氏によるばらばらの14枚の絵。それぞれの絵にはタイトルと短い説明文がそえられていた。翌日、原稿を持ってくる約束だったが、バーディック氏は忽然と消えてしまい、持ち込まれた、想像をかきたてられる絵とタイトルと説明文のみが残されてときが経ち、ここに出版されるに至った。ー
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モノクロの14枚の絵の織りなす絵本を、ある人はSFめいていると言い、ファタジー、シュールレアリスムでどこかホラーっぽさがあるとする方もいらっしゃる。夢の世界に誘われていく感じで、実際にこの絵本を読んだ後、情景は別のものだがイキイキとした夢を見た。
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14枚は、あきらかに超常現象的な、おおがかりで不穏な現実離れした情景で謎をなすものから、穏やかな日常の情景の延長上にちょっぴり謎が感じられるものまでバラエティに富んでいる。

「七つの椅子ー五つめは結局フランスでみつかった」
「七つの椅子ー五つめは結局フランスでみつかった」(『ハリス・バーディックの謎』裏表紙)

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「はじめに」の中で、これらの絵に触発されて子どもたちが物語をたくさん作ったとされている。読み手の広げるイマジネーションに期待がかかっているようにも見えるが、不可思議な情景を答えなど求めず、ただ味わって、いいなと思えるようになるというのも、自分の世界を広げるのにけっこう役立ちそうである。
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高邁に思えてしまう文学の世界の中のあるものには、こんなところから近づいていくのがいい足がかりになるかもしれない。

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この絵本、ご存知の方もいらっしゃることだろう。けっこう古く、1984年刊行、日本では1990年に翻訳が出版されている。そして、その翻訳から25年を経て、14の絵からインスパイアされた物語をオールズバーグも含め、スティーヴン・キング他で14話おさめた書物が刊行された。『ハリス・バーディック年代記』である。

『ハリス・バーディック年代記』表紙
『ハリス・バーディック年代記』表紙
「メイプル・ストリートの家ーそれは文句のつけようのない離陸だった」
「メイプル・ストリートの家ーそれは文句のつけようのない離陸だった」(『ハリス・バーディック年代記』裏表紙)

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それぞれのショート・ストーリーは、絵の性質だけではなく、作者のバラエティも反映して、読んでの感触とでもいうのか、方向性がかなり違っていて、飽きない。短くまとめられているので、小説、文学に縁遠くても、短かいひととき、楽しむことができた。
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こちらの本の中にも、絵本の見開きと同じページが含まれていたが、やはり、絵本のページをくって世界にひたる醍醐味は欠かせない。年代記の前に絵本、そして読んだ後にも絵本なのである。

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掌の上の、さよならと文字を書く毛虫をみつめる少女を描いた素朴な絵「オスカーとアルフォンス」に心惹かれたが、手帳には、絵本の裏表紙から、人気の「七つの椅子ー五つめは結局フランスでみつかった」を、年代記の裏表紙から、注目が集まりやすいキングが物語を書いた「メイプル・ストリートの家ーそれは文句のつけようのない離陸だった」を貼った。

ハリス・バーディックの2つの絵
手帳に貼った、ハリス・バーディックの2つの絵

(2022.01.28)  手帳2022-86

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あってい

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