考えてないのにアイデア満載!人の巧みさ再発見の激写コレクションを楽しむ『考えなしの行動?』。「デザイン思考」で有名な、あの米国IDEOの専門家による著書、なんと翻訳は理系ミステリで人気の森博嗣さんという豪華だけど手軽に楽しめる1冊。
『考えなしの行動?』あの「デザイン思考」のIDEOの専門家による著書
「待合い」と題する写真
「待合い」と題する写真、街で何かを待っている人たち、支柱の間にテープがはられていたりするが、なぜか、どの人も小さな支柱をなすもののあるところに身を寄せて待っている。「人々は、支柱のあるところに立つ傾向がある。広くあいているスペースや、テープのところではない。これは社会的な距離なのか、防衛的なものか、柱になにかを載せたいのか、あるいは、ほかよりもここが特別な場所だと感じられるということなのか。たぶんここに、待合い所をデザインするための教訓がある。」といった具合である。
「自転車の屑籠」
「自転車の屑篭』という写真では、街角に置かれた自転車の篭にゴミが放り込まれている。「東京では普通の風景。自転車の篭は、伝統的な屑篭に似ているし、通行人がゴミを投げ入れるのに最適なロケーションに置かれている。ストリートの設備を効果的にデザインするヒントになるか。」とある。
街角で考えることもなく問題解決
原著は2005年なので、写真に登場する人のまとっているファッションなどにやや古めかしさは感じられるものの、今でもなるほどと思わせられる。街角で人が考えることもなく問題解決のためにしている、さまざまなおこないの写真と短い説明書きが目白押しである
あーこれ、あるある!
人気の「デザイン思考」にもとづく視点で解説文はつけられているが、ただ写真を見て、あー、これあるあると写真で見ていくだけでも愉快だ。気づかずにしていたり、ことさらとりたてて見つめることがなかった情景を切り取って見せてくれる著者の手腕に感心しながら、人が考えることなく行っていることの豊かさに心躍らせるひととき、悪くない。
あなただったらどうする?人間行動のおもしろさ
表紙の絵は、本の中の写真をイラストにおこしたもの。「バッグをくわえる」である。両手がふさがった時、あなただったらどう解決する?写真の解説文は「動いているとき、両手を自由にする方法はいくつあるか。」どうだろう?
考えこむことなく、動いて解決していることって、けっこうあるよね。手帳にその表紙の写真を貼った。
(2022.02.02) 手帳2022-88