重ねて貼るということをしてみた。貼るときに今までは並べて貼っていた。一歩進んで、紙片を重ねるようにして貼ると、俄然、手帳のページがいきいきとしてくるようである。
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アリスのうさぎとチェシャねこは、新しく手に入れたクリアスタンプによるものだ。メルカリで見つけて4絵柄、送料込み799円で手に入れた海外製品である。ひとつの絵柄で、2000円、3000円するラバースタンプは目にするのだが、なかなか買えるものが見つからずにいた。イメージどおりのスタンプがみつかり、うれしかっただけでなく、おしゃれなスタンプアレンジをしたクラフト紙の茶封筒で、珍しいフォルムの海外ものの小さな安全ピンのおまけつきで届いたのが楽しい。

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さて、重ねて貼るということである。子どもは、幼いときは、それぞれのものを並べて描くことしかできないが、成長すると手前のものと、うしろの物を重ねて奥行きのある描き方ができるようになる。
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はじめての手帳にマステやシールを貼ったり、スタンプをおしたりしてきたが、ページにおとなしく並べてきた。ちょうど幼い子どものようである。それを、重ねて貼ったり、スタンプをおしたりしてみるのである。そうすると、俄然、楽しい雰囲気が増すようである。
重ねて貼ってみると、コラージュ手帳や、人気のジャンクジャーナルの世界の入り口に立ったような印象をもつことができるだろう。
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手帳アカウントの世界では、コラージュ手帳があったり、ジャンクジャーナルがよく見られる。
コラージュ手帳は、文を書きとめることよりも、さまざまなパーツを多種、手帳に貼り込んでコラージュして見せて楽しむことがメインの手帳である。
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ジャンクジャーナルは、元々海外のもので、綴りものにあれこれ貼りこんでスクラップしていくところが、コラージュの一種といえそうだが、ジャンクというぐらいで、貼りこまれるパーツが、昔の印刷物のように、古い素材あるいは、使いふるされたように見せる素材がもちいられているところに特徴がある。
また、貼りつけられる際のパーツの重なりが多い傾向が見られると同時に、西欧人的なモチーフの図像が多用されていて、複雑で重厚な、やや鬱蒼とした雰囲気をもつ。
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ジャンクジャーナル向きの、輸入物の素材の束が売られているので、購入したり、同じ趣味仲間で、おすそ分けしあったりして素材を集め、切り貼りする。紙を染めたり、古書を集めたりして、古びた素材を自分でつくる方もいらっしゃる。スタンプも、輸入物が、ジャンクジャーナル向けとして売られている。
ジャンクジャーナルは手がかかっていて、それ自体の楽しみを追求できるクラフトといってよいだろう。
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ジャンクジャーナルになると、技巧的な感じが強いが、それも含め、コラージュというのは、多くの人にとって好ましい体験である。
アートセラピーの1種に、コラージュ療法があるぐらいで、癒しになるし、その人の心の世界が自ずと表れるとも見られていて、ミニチュアを並べて遊ぶ、有名な箱庭療法の平面版だとされている。コラージュには、そのときの心の状態がよく反映されるともいわれる。
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海外のインスタアカウントで広く見ることができるジャンクジャーナルのコラージュは、古来西欧の伝統の重さに偏っているところがあるが、日本の一般人のコラージュ手帳は、そうした要素を取り入れながらも、余白や、無地、線画イラスト(manga)、普及している豊富な良質のカラー筆記具を活かした独自のスタイルを展開している。
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クラフトまでいかないが、その雰囲気を味わってみる手だてとして、あるいは、癒しになったり、心の動きを垣間見せてくれる記録として、気軽に手帳にコラージュしておいてみるのは悪くない。そしてはじめての手帳でコラージュするときに、パーツを重ねてみるということを意識すると、ぐんと楽しくなる。
*テクスチャ素材は、書籍『LUXURY』(石の素材集)からとって、パソコンで加工したもの。
(2021.9.15) 手帳2021-17