切ってひらいて、もんきりあそび、かわいい楽しい文様鑑賞、絵本『こども文様ずかん』で味わうかたち。
絵本『こども文様ずかん』
かわいい楽しい文様鑑賞絵本
日本のお宝デザインがどっさり!と帯に書かれた絵本『こども文様ずかん』は、おりがみを折って重ねて、型紙にそって切ってから開くと文様になる、いわゆるもんきりあそびをしながら、日本の文様を楽しむことができるよう作られている文様鑑賞絵本だ。

配色やレイアウトがおしゃれで、文も響きがよい
配色やレイアウトがおしゃれなので、とてもかわいく、ていねいで響きのよい文がそえられているのも好感がもてる。文様のいわれがわかり、もんきり遊びを実際にしなくても十分楽しめる、単なるハウツー本とは一線を画した、味わい深い一冊だ。
著者の下中菜穂さんは、もんきり遊びの本をたくさん出されていて、もんきり遊びに向いた和紙と型紙のセットを幅広く展開されているので、どこかでセットを目にされている方もいらっしゃるだろう。
もんきりあそび
型紙のページは、ふつうのおりがみの大きさ用
絵本には、型紙のページがあり、ふつうの大きさの15cm×15cmのおりがみ用の大きさになっているので、コピーしてもんきりあそびに使うことができる。
型紙は、小さなこどもでもはさみを使って切れそうなものから、カッターでなければ切れない複雑なものまであり、好みに合わせて楽しむことができる。
「初雪(はつゆき)」を切ってみた
まず、もんきりのデザインとして、西洋風にもマッチしそうな、シンプルなパターン「初雪(はつゆき)」に惹かれて、切ってみた。6つの花弁をもつ花のような雪の結晶だ。おりがみを半分に折り、三角にしてから、60度で三つ折りしておき、型紙を軽く貼って切る。開いたときにぱっとかたちがあらわれる瞬間のときめきは格別である。


昔からある薄手のおりがみの他に、100均で手に入るこしのある「にほんのいろ」の両面おりがみ、金のおりがみ、英文字柄のおりがみを使ってみた。どれでもピッタリだった。
「千鳥」と「光琳蝙蝠」(こうりんこうもり)
「千鳥(ちどり)」「光琳蝙蝠(こうりんこうもり)」は、おりがみを四角く半分に折り、切り開く。

蝙蝠(こうもり)は、西洋では不吉な動物とされるが、「蝠」の字が、中国で「福」と同じ「フー」という発音であることから、めでたい文様として、日本でも江戸時代に大流行して、きものや手ぬぐい、うつわにたくさん描かれたとのこと。とてもかわいい文様になっている。目玉は一つ穴パンチで作った。
「丸に向い燕(まるにむかいつばめ)」「光琳梅(こうりんうめ)」「光琳桜」
他に2回四角く二つ折りにして切り開く「丸に向い燕(まるにむかいつばめ)」、三つ折りの応用である5つ折り「光琳梅(こうりんうめ)」、「光琳桜(こうりんさくら)」をつくったが、もんきりの切ってひらいた瞬間のときめきは、ご想像のとおり、放射状の折り目を元にする、三つ折りや五つ折りが格別だ。

三つ折りや五つ折のときに、はさみで切るなら薄手のおりがみで
折り重ねて切ることから、三つ折りや五つ折りのときは、はさみでなめらかに切りたければ、おりがみが薄手の方が扱いやすい。
手芸志向のもんきりの楽しみ方なら
『切り紙もんきりあそび』
『こども文様ずかん』と同じく、下中菜穂さんの『切り紙もんきりあそび』は、ケーキの粉砂糖でのデコレーションの型紙として、もんきりを使っている様子が紹介されていたり、箸袋や菓子敷に貼ったものが紹介されていたりして、手芸志向のもんきりの楽しみ方を垣間見せてくれる。

オリジナルではなく、古くから伝わるかたちを楽しむ
心楽しいひととき
手帳には、作ったもんきりの写真を散りばめた。応用してのオリジナルのかたちを求めてしまいそうにもなるが、古くから伝わるかたちをこうして味わうのも心楽しいものである。
(2022.02.10) 手帳2022-92