文様(もんよう)、文様、世界は文様であふれてる!絵本で世界の文様を楽しむ。文様の名前、いくつご存知?
『文様えほん』を楽しむ
模様と文様の違いは?
『文様えほん』を楽しんだ。帯には、「古今東西、300種の文様がこの1冊に」の文字が躍る。
模様(もよう)と文様(もんよう)の違いがおわかりだろうか?飾りつけのためにつけられた絵や形で、名前や意味が特にないものが模様、その形ならではの名前と意味があるものが文様だ。
散りばめられた文様を、おばあちゃんといっしょにめぐる
文様の本というと、文様がサンプル帳よろしく、整然と並べられているものを思い描きがちだが、この「えほん」は違う。
舞台はおばあちゃんのおうちから始まる。そして、いろいろな文様の基本部分がページいっぱいに散りばめられている中を、おばあちゃんが指さししてくれるのを見ながらページがすすむといった感じのつくりになっている。
文様の説明をつい拾い読み
手描きのやわらかな線とカラーのイラストが生かされた、なんともあたたかで親しみやすいページ見開きに散りばめられた文様を楽しむついでに、つい、それぞれの文様にそえられた短い説明の拾い読みをしてしまう。
パノラマ絵本を味わうように
あの、かこさとしさんの絵本、『海』『宇宙』『地球』のように、文字を追いかけることよりも、ページ見開きのパノラマ絵を味わうときに働く快感が優先された絵本だ
『有職文様図鑑』を手に入れて
ちょっと背伸びして
ついまた、色気を出して『文様のえほん』に出てくる文様の名前がわかるようにしてみたいと、いつもながらの、大人ならではの学習のコツ、連想豊かにして深い知識と関連づけて楽しむ、を実践したくなり、扱う文様の範囲は『文様のえほん』に比べ限定的なものの、評判の『有識(ゆうそく)文様図鑑』を手に入れた。
文様が使われている物の写真と典拠・用例つきで
文様だけではなく、それが使われている物の写真もあり、さらには詳しい解説文中に、典拠・用例つきで古典をあげて文様のもつ意味にまで言及されている。
文様を甘く見るべからず
絵本より一歩ふみこんだ味わいを求めて手に入れた本であったが、文様を甘く見ていたことを思い知らされる結果となった。
文様の種類が多すぎる
カテゴリー別になっているので、そのレベルの区別まではなんとかたどりつけそうな気がした。たとえば、植物の松、かたばみなど、自然物の雲、波などといった具合である。ただ、その先の個々の名前のついた文様の種類は紹介されているものだけでも数が多すぎて手にを得ない。
文様の奥深さに圧倒される
もちろん青海波(せいがいは)のように有名な文様も含まれていて、一目でわかるものもなかにはありはした。しかし、カテゴリーのレベルでさえも、鳥の種別は難しく、さらに、文様えほんの中に出てくる文様名と重複して出てくるものを見つけるのが困難なほど、文様の種類が多岐にわたっていることを知って、文様の奥深さに圧倒された。
文様をめぐって
『文様えほん』の文様の設定
『文様えほん』には数多くの参考文献が最後に記載されている。といっても一般書レベルのように見える。絵本の作者の方はイラストレーターだ。どのような基準で、絵本に描く文様を選定したのだろうか。楽しめる絵本になっていて感心する。
多様なものを多様なまま受け入れること
多様なものを成立させているシンプルな原理を知りたいという欲求にしたがうと、もう少し別の何かの深め方を求めてしまうところは残るが、多様なものを多様なまま受け入れ味わうという姿勢も人生を豊かにしてくれる。
「集める」欲求から生まれる期待
当然そこには、文様を「集める」欲求が生まれ、「集める」となれば、ネットを介したしくみに期待したいところだが、文様に関してもネットは本に追いついていないようである。長生きして、先の世の中を見てみたいものだ。
手ざわり感を楽しめる『文様えほん』とちょっぴり敷居の高い『有職文様図鑑』
手帳には、手ざわり感を楽しめる『文様のえほん』と、本でしか今のところ得られない奥深い知識満載のちょっぴり敷居の高い『有識文様図鑑』の写真を貼った。
(2022.02.06) 手帳2022-90