サルはサンタを信じない。子どもの空想は人間らしい営み、サンタを信ずること、大切にしてあげたい。映画『三十四丁目の奇蹟』を見て、いつまでも空想に共感できる人間でありたいと願った。
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1947年のモノクロ映画『三十四丁目の奇蹟』は、サンタが、反発する人の存在にもかかわらず、多くの人々を幸せにする物語だ。
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この映画のサンタ、実は、自分がサンタだと思い込んでいる老人。でも、人々が空想するサンタにぴったりの姿やふるまいと優れた知恵のはたらきのため、子どもは本物のサンタだと信じ、多くの大人から愛される。そして、彼を精神的に異常だからと拘束しようとする人々が現れ、裁判にかけられ、サンタは存在するか?を論じあう珍法廷が展開されることになる。
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こうして書くと、重苦しい感じになってしまうが、映画のつくりは実に軽やか、サンタ役はひょうひょうとしているし、登場人物も感情過多になるところはなく、あっさりと爽やかだ。サンタがいると子どもに言うことは、ウソをつくことであまり気が進まないと困っている方の心を軽快にしてくれるだろう。
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サンタを信じている子どもには見せない方がいいが、少し大きくなって現実を知った子どもや大人に、それでもサンタを信じてよかったと思わせる明るいストーリーだ。
軽やかなラブストーリーも含まれているので、カップルで見ても後味がいいだろう。
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いろいろな観察や実験をとおして、サルには空想ができないといわれている。人間ならではの営みである空想をする力は、子ども時代に盛んになって、成長に欠かせない。大人になっても、わたしたちの生活を支えてくれる。
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この1947年の米国映画、今では、リメイクの1994年の映画の方が、よく見られているようだ。ただ、また機会があれば、繰り返し見るかもしれないと思ったのは、オリジナルの1947年映画だ。
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2つの映画では、法廷でのサンタの存在を認める結論の導き出し方が違っていて、1994年映画の方が、より米国文化に依存した理屈を使っている。また、ファッションや風俗が1994年映画では中途半端に古い。1947年映画はヴィンテージテイストが漂っていて雰囲気があり、おしゃれだ。音楽もいい。
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1947年映画『三十四丁目の奇蹟』は、アマゾンプライムビデオで無料で見ることができる。
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映画にも出てくる太っちょ口ひげの陽気なサンタ像の元祖は、米国で1823年に「クリスマスの前の晩に(The night before Christmas)」の詩の中で描かれたもので、クレメント・クラーク・ムーアが作者と言われている。英語ではあるが、英国では米国でほどポピュラーではないらしい。
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たくさんの絵本があるが、有名なしかけ絵本作家のサブダさんによるものを手帳とともに写真におさめた。そして手帳にはクリスマスのスタンプ!
(2021.12.25) 手帳2021-69