みんな大好きピタゴラスイッチ制作メンバーによる、かわいい写真数学絵本が楽しい!『解きたくなる数学』の魅力的な写真とやさしい問いかけの語り口で数学に縁遠い人でも、題名のとおり、思わず解きたくなってしまう。
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人気の佐藤雅彦さんとその仲間による1冊は、本のつくりがとってもかわいい。角を丸くした表紙、親しみやすいのに媚びないおしゃれな文字やレイアウト、なでたくなる一品だ。
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先日ポストした、アリスの算数パズルの本が楽しかったので、2021年の秋に刊行されて、ベストセラーのこの本を手にした。人気テレビ番組でも紹介されたようだ。
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考えこむ時間をとるほど暇じゃない、すぐ考え方の解説を読んでいこうと思っていたのが、問題を見せる日常的な情景の写真に目を惹かれ、ついつい自分で解いてみたくなる。
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解けなかった問いはもちろん、いろいろメモして、えいっとあてずっぽうで解いた問いについて、数学にのっとったスマートでエレガントな図解説を読み、あっそうかの快感である。「偶奇性」や「鳩の巣原理」といった思考の仕方も、ひらがな中心の説明で、はじめて知った。
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本の最後にある「この本はこのようにして生まれた」にある、問題をわがこととすることのありようについての、「知覚の恒常性」にからめた説明も見事である。
同じ対象であっても、見る方向や距離、照明などが異なると、その見え方(網膜に映る像)が変化するけれど、人間は、その変化した像から、対象物が恒常的にもっている元々の形や色を知覚できることを、「知覚の恒常性」といっている。
ちょうど、この本の問いで見せられる、実物の写った少し歪みもあるごく自然な日常風景の写真から、解く者が問いの本質の枠組みを想起させられるサマが、「知覚の恒常性」に似ており、そのことが「問題を自分事にした」ことになると説明するのである。
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あたまがよくなりそうな気がしてしまう、この本、23問はあっという間である。あの岩波書店発行で、本の帯には、身につくのは「論理の組み立て+抽象化+新しい考え方の枠組み+思考のジャンプ」という文が躍る。それは、ちょっと言い過ぎという気もしなくはないし、これでは物足りないという数学好きの方もいらっしゃることと思うが、売れる本づくりとしての成功を見てとれることは間違いない。
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かわいくて楽しいこの本、手帳には、裏表紙にある、問いに使われている写真を、読後の快感の余韻のよすがとして貼った。念のため繰り返しておくと、中のビジュアルは秀逸である。見ると「解きたくなる」こと間違いなしだ。
(2022.01.30) 手帳2022-87