『リバティプリントデザイン図鑑』を楽しんだ。人気のベッツィ、フェリシテ、ウィルトシャーは、1933年に謎のD.Sにデザインされた。そして、みんなの大好きミナ・ペルホネンの皆川明さんによる2010年デザインも!
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リバティ柄のテキスタイルは人気がある。そんなリバティ柄のデザインを数万点のアーカイブから350柄選び、掲載したのが『リバティプリントデザイン図鑑』である。大判の本のページには、鮮やかなカラーでリバティプリントが躍り、眺めるひとときは楽しい。それぞれの柄の短い解説や「リバティ社に残るウィリアム・モリスのデザイン」という見開きまとめがあるのも、うれしい。
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リバティは、1862年、ロンドン万国博覧会で日本の美術工芸品を見て感銘を受け、日本の美術工芸品を輸入販売する店を開店した。ジャポニズムだ。これが後のリバティ社のルーツである。1862年といえば、ルイス・キャロルがアリスと川遊びをし、博覧会へ行く列車の中で『不思議の国のアリス』を書いた年だ。アリスの時代である。
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『リバティプリントデザイン図鑑』では、350柄を8つのデザインカテゴリーに分けている。そのため、デザインの比較がしやすい。1アールヌーボー、2更紗・ペーズリー、3大花、4実・葉、5中花、6幾何、7小花、8カンバセーショナル、の8カテゴリーである。
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リバティ柄の一番人気は、「ベッツィ」(手帳左ページ上)で、5中花、中位の大きさの花模様のカテゴリーに入れられている。5中花、7小花のカテゴリーには、リバティ柄といえば、こんな感じと誰もがイメージする、リバティの代表的な人気パターンが数多く含まれている。「フェリシテ」(手帳左ページ下)も人気で、5中花に含まれる。この2つは、実は、どちらも1933年にD.S.によってデザインされたもので、デザイナー名はD.S.としか書かれておらず、はっきりした名前はわからない。
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4実・葉に含まれる「ウィルトシャー」(手帳右ページ上)という人気のパターンも、1933年にD.Sによってデザインされたものである。一番人気の「ベッツィ」をはじめ、同じデザイナーが同時期に、日本でいえば、昭和ヒトケタの時代にデザインしたものが、おしゃれだとして今でも愛されているわけだ。
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そして、みんな大好きミナの皆川明さんのデザインもある。7小花の「スリーピングローズ」が人気だ。魅力的なデザインのなかでもパターンがはっきりとして個性的で目をひくのは、2010年発表の「メモリーズ・オブ・レイン」(手帳右ページ下)である。インクのにじみや手描きの水玉の中に、天使や蝶、花、虫などが散りばめられていて心ひかれる。8カンバセーショナル、物語性のあるデザインカテゴリーに入れられている。
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8カンバセーショナルのカテゴリーには、個性的で現代的なパターンが目白押しである。2006年発表の「ジェニーズ・リボンズ」も人気である。大小のたくさんのリボンの中にストライプ、チェック、ドット、アスタリスク、ダイヤが多彩にアレンジされていて楽しい。本の表紙の左下にあり、ペーパーを広げた下の写真では左端にある。
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まだまだ人気パターンをあげていくと、キリがない。また、個人的に思い出のある、プリント柄によく似たパターンをリバティプリントの中に見つけたりもした。はじめて、一人暮らしをしたとき部屋の壁に貼った布地の柄は、「ムーンモス」に似ている。お気に入りのベッドリネンの柄は、「セパートン」にそっくりとか、「ジョシュア」みたいな派手な幾何パターンのパジャマを着ていたときがあったとか。そんな楽しみ方もできる。
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『リバティプリントデザイン図鑑』で好きな柄を見つけてから、その名前で検索すると、好きな生地を手に入れやすくなるだろう。図版に縮小率が記されているという細やかな気配りもありがたい。リバティのデザインの幅広さと楽しさを味わうのに役立つ一冊である。
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手帳に貼った、1933年D.Sデザインの「ベッツィ」、「フェリシテ」、「ウィルトシャー」と、皆川明さんの2010年「メモリーズ・オブ・ザ・レイン」、まだまだ貼りたいデザインがリバティにはあふれている。
(2021.12.09) 手帳2021-61